1. デーツ酢とは？
デーツ酢はデーツ（ナツメヤシの果実）を発酵させて作られる伝統的な発酵食品です。デーツは中東や北アフリカ地域で長い間重要なエネルギー源として愛されてきた熱帯果実で、豊富な天然糖分やポリフェノール、フラボノイドなど様々な抗酸化成分を含んでいます。これらのデーツを発酵させることで、糖分の一部が有機酸に変わり、体内の代謝に関係する生理活性物質の働きが強化され、健康により良い効果を示します。近年では単なる調味料ではなく、血糖値やコレステロールの管理に役立つ健康補助飲料として注目されています。
2. 最新の研究：血糖値とLDLコレステロールの同時改善
最近、マレーシアのプトラ大学とイランのシャヒード・ベヘシュティ医科大学の共同研究チームは、デーツ酢が2型糖尿病および高脂血症患者の血糖値と脂質値の改善に与える効果を分析しました。この研究は30～60歳の成人50人を対象に実施され、一方のグループは毎日デーツ酢20mLを10週間摂取し、もう一方は生理活性物質を除去したプラセボ飲料を飲みました。
その結果は驚くべきものでした。
- ヘモグロビンA1c（HbA1c）：6.85% → 6.08%
- 空腹時血糖：168.4mg/dL → 147.6mg/dL
- LDLコレステロール：121.05mg/dL → 111.09mg/dL
つまり、デーツ酢を飲んだグループは血糖値と悪玉コレステロール（LDL）を同時に下げる効果を示しました。研究チームはコンピュータベースの分子ドッキングおよび動力学シミュレーションを通じて、デーツ酢の主要成分が血糖吸収タンパク質（SGLT1）、インスリン分解酵素（DPP-IV）、血圧調整タンパク質（ACE）と安定的に結合することも確認しました。これは血糖値とコレステロールを同時に調整できる機序的根拠と評価されます。
3. デーツ酢の特性
デーツ自体は糖分が高いですが、発酵過程で糖分が一部減少し、生理活性成分は逆により活発に作用するようになります。特に研究チームは65～70度の中温で圧力乾燥を行うと、糖分を維持しながら抗酸化成分の損失を最小限にできると明らかにしました。このような加工方法はデーツ酢を血糖値・コレステロール管理に最適化された食品にします。
4. 日常での摂取方法
デーツ酢は味や使い勝手が優れており、日常で簡単に摂取できます。
- 飲料として摂取：水や炭酸水に1～2スプーン（15～30mL）ほど希釈して、朝や食後に飲むのがおすすめです。
- 料理に活用：サラダドレッシングや肉料理のソース、漬け物に加えて風味と健康を同時に楽しめます。
- 継続が重要：短期間の摂取よりも継続的な摂取が血糖値やコレステロール管理に効果的です。
5. 摂取時の注意点とまとめ
デーツ酢は健康に良いですが、過剰摂取すると胃に負担をかける恐れがあります。1日30mL以内の摂取を守り、胃腸疾患や血糖降下薬・降圧薬を服用中の場合は専門家に相談することが望ましいです。また、本研究は短期間かつ少人数を対象に行われたため、長期的な効果を確認するにはさらなる研究が必要です。
デーツ酢は伝統的な発酵食品の知恵と現代科学の分析が融合した成果物です。
それでもなお、血糖値とコレステロールを同時に調整できる食品として、継続的に摂取すれば糖尿病・心血管の健康管理に大きな助けとなるでしょう。